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【インプレ】23ヴァンキッシュC2000S、8ヶ月使用レビュー。軽量ハイエンドの正直な感想は・・・?


こんにちは、訪問ありがとうございます。

 

シマノ軽量スピニングリールの最高峰、23ヴァンキッシュ

使い始めてから8ヶ月ほどが経ちまして、アジを中心にセイゴ、メバル、その他ゲストを合わせるとこのリールを使って釣れた魚が100尾を超えてきました。

ということで、このあたりで私なりの感想をインプレとしてまとめてみました。

個人的事情もあり、愛憎入り混じってなかなか長くなってしまったので、気になるポイントだけ見たい方は目次から飛んでください。

 

 

基本スペック(C2000S)

一応おさらい。

自重:145g

ギア比:5.1

ドラグ力実用/最大:2kg/3kg

糸巻量ナイロン/PE:4lb100m/0.6号150m

ハンドル長さ:40mm

ベアリング/ローラー:11/1

定価:¥65,300-(購入金額¥57,000くらい)

 

使用シーン

これまで専らソルトライトゲーム用のリールとして使ってきました。

ロッドは主にヤマガブランクス ・ブルーカレント510と組み合わせて使っています。

ラインは常時エステル2lbにフロロリーダー3lb。

 

デザイン

黒とシルバーの落ち着いたバランス。

無難なカッコよさといいますか。

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良く言えばシック、スタンダード。

価格なりの高級感はあるか?と問われると、それはどうだろう?軽量リールならではの華奢な感じはします。でも全体的にクセがなく、良いと思いますね。

 

気になるのはローターとボディの露出したビス。

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このあたりは最近ダイワがモノコックボディ+エアドライブローターの搭載で、外からはビスが露出していない非常に洗練された造形を打ち出しています。

それと比べると、デザインに関しては抜本的な改良は見られないというか、進化していないという印象になってしまいますね。

 

超密巻き(インフィニティループ)

このリールの注目ポイントは何といってもココ。

20年以上前に生まれるも長くは続かなかった旧スーパースローオシュレートが改良を加え、インフィニティループと名を変えて22ステラから再登場。それがヴァンキッシュにも搭載されました。

過去を知る方にとっては賛否両論あるこの機構、私にとっては初めての体験でしたが・・・。

この超密巻き、どんなメリットがあるのか?

 

メリット①ドラグの安定性

まずドラグの安定性というのが挙げられます。

ドラグが引き出される際、従来のものより糸がラインローラーに向かって出ていく角度の変化が小さくなります。これがドラグのムラをより少なくするなど、機能向上に寄与するというわけです。

これにより体感できる変化は僅かかもしれませんが、ライトラインでドラグでのやり取りを必須とする釣りの場合、ドラグ性能に対してメリットになることはいくつあってもいいですね。

そして確かに、実使用ではドラグ性能の高さを感じています。

 

メリット②キャスト

同様の理屈で、ラインの放出時に角度の変化が少ないことが放出抵抗の低減に繋がり、結果としてキャスト時に飛距離が伸びるということになります。

これは軽いものをキャストするときにより顕著に感じられます。

ラインの放出抵抗がルアーの足を引っ張らないのでキャスト終盤の伸びが気持ちよく、特に1g以下の仕掛けをキャストするときの快適さは他にはないですね。

ただしこのライン放出抵抗が少ないということが、超密巻きであるが故のライントラブルの原因ともなる諸刃の剣。後述してます。

 

メリット③美しさ

下の写真はアジングに使用した後のものですが、このように超密巻きはラインがスプールに整然と、非常に美しく巻かれます。

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これは実使用後なので少しラフさが見られますが、新品のラインをきちんとテンションを掛けて巻いたときの美しさはちょっとしたアートのよう。

こんな感じで。

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この巻かれたラインの美しさもさることながら、ハンドルを回すと上下するローターの、ゆっくりとした挙動がまた実に優雅です。

ムラの全くない一定速度の上下動は、スーパースローであることが機械的精緻さを一層強く印象づけており、動作することによりこのリールの高級感はぐっと増します。

ここはシマノならではのウォームシャフトによる摺動が活きていますね。

これを見慣れると、普通のスピードで上下するローターがどうも野暮ったく見えてくるんですよね〜。

当然ですが、この項で挙げたメリットは実釣に関係ありません・・・しかしながら、こういうところも大切だと思います。

 

懸念:ライントラブルは起きやすいのか?

インフィニティループ(超密巻き)最大の懸念はここにあります。

今のところステラとヴァンキッシュにのみ搭載されている機構なので、それ未満のモデルについては気にすることはありません。

ただステラもヴァンキッシュもハイエンド、それなりのお値段なので、購入するなら失敗したくない。そこにこの一度は搭載機構から消えた超密巻き・・・大丈夫だろうか?となるわけですね。当然です。

シマノとしては勿論クレーム多発になるような甘い見通しをしてはいないはずで、搭載の決定は様々なテストと改良、あるいはユーザー層のスキルなどのデータを積み重ねて出した結論なのでしょう。

というわけで過度に心配しなくてもいいかと思いますし、こうして勝手に背景を想像した私もそう踏んで購入を決めたわけです。

で、今まで使ってきての感想としては・・・。

ひとまず『ラインの扱いに普通レベルに気をつけていれば、トラブルは普通レベルに起こらない』です。

そして『普通レベルに気をつけていない場合、トラブルのリスクはかなりある』とも感じています。

つまりライントラブルを防ぐための基本動作をきちんとしていれば、特段トラブルが起こりやすいリールだとは感じられないということです。

前述の③にある最初の写真、よーく見ると下にラインが弛んだ状態で巻き取っている形跡があるのがわかりますね。

これが更に重なった状態でいるとそのうちピョン吉がスプールの上下に現れはじめ、間もなくドバッとゴップが生じます。実際に一度起こりました。

超密巻きという巻き方と、ラインの放出抵抗が少ない分、どうしてもキャストのときなどには下のラインの追い越しが生じやすくなります。

そのためエアノットやゴップが発生して、あ〜ぁ・・・(絶望)となってしまうわけですね。

これはキャスト性能の向上に対する副作用のようなものとも言えます。

一応ラインローラーのすぐ下に『アンチツイストフィン』というものがあるのですが、果たしてこれがトラブル防止にどれだけ寄与しているのかは正直疑問です。これがあっても、きちんとラインをさばく基本動作をしておかないとトラブルは起こると思います。

トラブルを防ぐ基本的な対策としては、

・ラインを巻きすぎない(テーパーにも注意)

・キャスト時のサミング、着水後の糸フケ取りなど基本動作をおろそかにしない

・(どうしても心配な人用)巻き始める前に手元でラインを引っ張ってドラグを出し、ラインローラーに確実にラインを掛ける

これらをきちんとしていれば、まず心配ありません。念のため、時折ピョン吉がのぞいていないかスプールをチラ見しておきましょう。

なお、エステルラインしか使用していないのでPEの場合はどうなのかはわかりません。

ただ、基本を抑えておけばエステル同様に大きな心配はないはずです。

昨今のスピニングリールはトラブルレス性能が高いために上に挙げた基本動作をしなくても割と大丈夫だったりしますが、貴重な釣りの時間を無駄にしないためにもやっぱり基本は大切です。

 

軽さ

C2000Sは自重145g。

同番手ならシマノ最軽量、ダイワのエアリティと同じです。これより軽いリールは2023年12月現在のところイグジストSFしかありません。

合わせるロッドは50g台、使う仕掛けが1g以下になることも多いので、操作性・感度を考慮するとリールは軽ければ軽いほど良いと思います。

今のところタックルの軽快感は文句なしですね。

バラしてみると改めて気付くんですけど、こんなに部品が多くてゴチャゴチャした構造の機械を145gに収めるという企画力と技術力・・・。

凄いとしか言いようがない。

あと、軽いですけど全く弱くはないです。

ライトゲーム中心に8ヶ月程度使い込んだくらいではガタもなにも気配すらありません。当然ですけどね。

 

レスポンス

ヴァンキッシュといえばマグナムライトローター(MGL)搭載機種の最高峰。

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MGLシリーズはこの軽量ローター採用による巻き出しの軽さが特徴です。

軽量=低慣性なので、一定の速度で巻き続ける釣りよりも、スッと巻いてピタッと止める、のような細かい動作、つまり操作性を求められる釣りが得意なわけですね。

ではこのヴァンキッシュの巻き出し、個人的にどう感じたかというと『確かに軽いけれども、感動!というほどではないかな?』です。

ここは自重や強度、ハンドルの仕様など様々な他事情との兼ね合いでベストなバランスを導き出しているのだと思いますが、C2000という小型番手だとそれほど差を感じにくいというのがあるような気がしています。

個人的にはマグナムライトローター搭載による巻き出しの軽さは、番手が大きくなるほど顕著になると感じています。

まあ、低慣性だけを突き詰めると最終的にはベイトリールに行き着きますよね。スピニングリールとしては23ヴァンキッシュの低慣性は必要充分、充分すぎるほどです。

 

ドラグ

私がこの23ヴァンキッシュで最も好感を持っているのがドラグ性能です。

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2lbの細さ且つ伸びのないエステルラインを使うので、ドラグは大切です。

23ヴァンキッシュのドラグの挙動はジワっとした繊細な滑り出しと粘っこい止まり方が特徴で、このとても曲線的な効きを大いに気に入っています。

アジを狙いつつ時折尺超えセイゴが混じったりするときも、バイト直後や足下での急な突っ込みで切られたということはありませんでした。

言うことなし、素晴らしい。使えばわかります。

前述の超密巻きも、ドラグ性能向上に一役買っています。

 

巻き心地

素晴らしいドラグ性能とは反対に、この23ヴァンキッシュで最も落胆したのが巻き心地です。

詳しくは以前に書いた記事のとおりです。

www.tsuridehitoiki.com

 

メーカーアフターからギアの無償交換で返ってきても根本的に改善した様子はなく、以降しばらく使って徐々にまたガシャ音が酷くなってきました。

そもそも本当にギアが問題なのか?という疑問もあり、結局一度ギアボックスまでバラしてみました。

他に怪しいと思っていたローターやシャフト周り、あるいはベアリングは特に異状はなく。

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切り分けていくと確かにギア、どうもピニオンギアか中間ギア、あるいはもしかするとウォームシャフトかも・・・という感じで、はっきりとコレだ!というところはわかりませんでした。

念のためドライブギアとピニオンギアを一度脱脂して再度グリスアップして組み付けてみましたが、特段の変化なし。う〜ん・・・。

このガシャ音については、釣りをしている最中は波の音やら風の音やらで聞こえることもなく気になることもほぼありません。

ただ、部屋でリールクルクルしたいじゃないですか。そのときにガシャガシャと音がするのは、5万円も払ったのに勘弁してよ、という気持ちがまず頭をもたげてくるわけです。

それが初期不良なのは仕方ありません(それでもハイエンドなんだから検品はきちんとしてよ、とは思います)。けれどもメーカーに送って事象を確認してもらった上、対処したとのことなのにほとんど何も改善していないというのは・・・。

まずネットでポチったのが失敗でした。

今のところ実釣のときは気にならない、というのが不幸中の幸いではあります。

 

(※2024/2/11 ガシャ音は結局自力で修理、ついでにPGチューンしました)

www.tsuridehitoiki.com

 

巻き上げ力

一方で結構いいな!?と思ったのが巻き上げ力。

この軽さからは少し意外なほど巻き取りの力があります。アジよりだいぶ重いセイゴもゴリ巻きで楽々寄せてこれます。

C2000を使う場合、ゴリ巻きで寄せるような場面はほとんどないですが、同じボディのC2500を使う場合だとこの強さはかなりプラスなのではないでしょうか?

 

ハンドルノブ

地味に気に入っているのがここ。

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フィネス仕様のハンドルノブ。

細身で自然と二本指でのグリップとなり、余計な力が加わりにくくなっています。

主にナイトゲームをしているので、手元に伝わる情報を察知しやすい状態が自然とできるのは大きなメリットだと思いました。

 

23ヴァンキッシュは買いなのか?

さてここまで長々と書いてまいりましたが、結局のところあなたは23ヴァンキッシュを買ってよかったと思ってるの!?と問われればどうかと言いますと。

『うん、まあまあかな・・・。』

って感じです。煮え切らない感じでごめんなさい。(笑)

性能、使い心地としてはまずドラグは文句なしに素晴らしい!ですし、軽いリグを飛ばせるのも良い。リールの軽さ、感度もバッチリです。意外に巻き取りが強いのも好印象。

そして超密巻きは個人的にはライントラブルの増加を招いておらず、断然メリットの方を享受できています。

ネガティブ要素は、ただハズレ個体を引いたという事が残念、アフターで対応してもらったのに改善していないのが更に残念、というだけのことですので・・・。

つまり、きちんとした製品を手にすることができるなら買う価値は充分にある!と言いたいです。

特にライトライン、軽量タックルの釣りにはさすがの最高峰リールという感じですね。

全体的に、すごい!感動!ではないんです。でも安定、強い。

だから高級リールでこんな思いをする人が出ないよう、検品しっかり頼みますシマノさん。価格なりの精度ってものがあるはずです。

そして高級リールは現物を確認して買いましょうね、という教訓。

まあエアリティSTSFが登場してしまった今、私がどっちを買うかと問われたらそれはもう言うまでもなく・・・。

 

 

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